白山周辺(岐阜) 芦倉山(1716.8m)、丸山(1786.0m)、初河山(1613m) 2021年4月3日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 5:19 駐車余地−−5:26 林道分岐(朝日添川の橋)−−6:04 林道を離れて尾根に取り付く−−6:13 林道(標高920m)−−6:28 林道(標高1030m)−−6:59 1221m標高点−−7:51 1464m標高点−−8:37 芦倉山 8:56−−9:44 1670m峰−−9:58 1625m峰−−10:02 ミスに気付き引き返す−−10:19 最初の1610m鞍部−−10:56 丸山 11:13 −−11:44 1659m峰−−12:22 初河山−−13:07 1148m標高点−−13:37 初河谷沿いの林道−−13:42 石徹白川沿いの林道−−14:31 上在所集落−−14:39 駐車余地

場所岐阜県郡上市/高山市
年月日2021年4月3日 日帰り
天候曇。稜線上はずっとガスの中
山行種類残雪期の籔山
交通手段マイカー
駐車場白山中居神社周辺や林道沿いに駐車余地あり
登山道の有無無し
籔の有無雪が無い場所は主に笹や根曲がり竹。標高1150m程度が残雪有無の境界だったが傾斜がきつい場所では標高1600mでも雪が落ちて藪が出ていた
危険個所の有無藪を避けるため急な雪面のトラバースをしなければ無し
山頂の展望芦倉山:大展望(今回はガスで真っ白)
丸山:大展望(今回はガスで真っ白)
初河山:南側が開けるが今回はガスで真っ白
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コメント藪が出ている可能性が高く計画を完遂できるか不安だったが芦倉山〜丸山〜初河山周回を計画。予想以上に残雪が少なく藪漕ぎがあったが先週の森石山よりはマシだった。しかし標高1600m以上はずっとガスの中でルート判断が難しくずっと方位磁石とにらめっこだった。少しでも気を抜くとルートミスで1670m峰の先では大きく外してしまった。初河山南西尾根の下りも難易度が高く外しまくった。林道〜芦倉山までは真新しいツボ足の足跡が、芦倉山〜丸山まではスキー跡が先行していたが追いつくことはなかった。石徹白川沿いの林道の雪には多数の足跡があってびっくり。今回の山行では右目の視力低下の影響を大きく感じた




林道脇の駐車余地 朝日添川を渡る橋が林道分岐。左へ
林道分岐から400mほどで残雪登場 雪の上には2人の真新しい足跡
廃車 雪を伝って斜面に取り付く
すぐに林道に出るが廃林道 少し廃林道を上がってカーブの目印から尾根へ
根曲がり竹の藪を登る 標高1030mで再び廃林道に出る
標高1050mで再び藪尾根へ 標高1100m付近。植林帯なのに根曲がり竹が深い
標高1140m付近。植林が終わり傾斜が緩むと雪が登場 標高1150m付近で先人の足跡が合流
標高1210m肩 標高1280m。足跡からスキー跡へ。でもすぐに足跡へ戻る
1330m峰 標高1320mからの急な登り。かろうじて雪がつながる程度
1464m標高点 標高1490m付近。藪を避けて北斜面を登る
標高1500m付近で尾根に這い上がる 標高1540m付近。見た目より藪は軽い
標高1560m付近。山頂まで尾根北側に雪が続く 標高1610m付近。ガスに突入
芦倉山山頂。ガスで真っ白。最高点不明確 丸山向けて北へ。スキー跡あり
尾根上は雪が崩れているので西斜面を下る トラバースして主稜線へ復帰
1669m峰手前でワカン装着 1669m峰登りは藪が出ていてワカンを脱いで東斜面をトラバース
途中の尾根で雪が割れて上へ 1669m峰北側で尾根に復帰。少しだけ藪が出ていた
1680m峰 1600m鞍部。既にルートを外している。スキー跡あり
1625m峰 標高1580mまで下ってルートミスに気付き引き返す
1680mは北を巻いて主稜線へ 標高1610mで主稜線に復帰
標高1650m付近 標高1730m付近。藪が出ていて左へ迂回
丸山山頂直下 丸山山頂。南を見ている
山頂南側の山頂標識 完全に文字が消えている
次に初河山へ向かうため南西尾根に入る 微かに黒っぽいのは古い足跡
1700m肩。ここで西に方向転換。僅かに藪が出ていた 標高1680m付近
標高1610m鞍部から1659m峰を見ている 気温はおよそ+2℃
1659m峰 標高1600m付近
標高1580m付近。尾根左側の雪が落ちている 尾根右側に乗り換える
1520m鞍部から1530m峰を見ている 標高1550m付近。古い足跡が部分的に明瞭化
標高1580m付近で尾根に乗る。南側は雪無し 初河山山頂直下
初河山山頂 初河山山頂から南西を見ている
初河山山頂から東を見ている 1587.6m三角点付近は藪を回避するため残雪の北斜面へ迂回
標高1550m付近 標高1510m付近。尾根北側を迂回中
標高1430m付近。ここも藪を避けて尾根北側を下る 標高1340m付近。尾根から離れすぎたのでトラバース開始
藪尾根を一つ越えて浅い谷を下る 標高1300mで藪に突入して尾根復帰を目指す
標高1290m付近。尾根に復帰し東側直下の残雪を快適に下る 標高1250m付近。奥の白いピークへ進路変更
標高1230m付近で尾根が明瞭化。藪は意外と薄い 標高1200m付近。東直下の残雪が使えた
1148m標高点付近。植林が登場 標高1090m付近
標高1070m付近のイワウチワ。まだ咲いたばかり 標高1020m付近。傾斜がきつくなりルートミスに気付き左へトラバース
標高1000mで赤テープ登場。ここで南へ下ることに 南へ下る尾根
標高950m付近の赤テープ 標高880m付近
川沿いの林道に出たが石徹白川ではなかった! 鉄の橋で左岸へ
左岸に出ると足跡登場 「初河山遊歩道」とあるが初河山への登山道ではなく八反滝への道
こちらの「八反滝遊歩道」の名称が正しい 石徹白川沿いの林道。真新しい足跡多数
林道は半分以上が路面上を歩けた ここは雪の上を歩くが安全
別山谷から縦走してきた釣り兼スキーヤー。釣りへ向かった デポされた自転車
野伏ヶ岳に向かう橋。昨年はここを通った 林道起点。車止めがあるが無くても雪ですぐに通行不能
白山中居神社駐車場。おそらく登山者の車ばかりだろう 駐車箇所到着


・白山南の別山からさらに南へ稜線が延び、銚子ヶ峰北方で分岐して東西に分かれるが、東側は銚子ヶ峰の先から大日岳まで、西側はずっと登山道が無いので雪がある時期限定の山だ。昨年は西側の野伏ヶ岳と薙刀山に登ったが、今年は東側の丸山、芦倉山、初河山を狙うことにした。

・問題は残雪状況。これらの山へのアプローチは西向きの尾根を使うので残雪が消えるのは早いと予想された。ネットで調べると丸山〜芦倉山間は既に藪が出ているとのことで、芦倉山への尾根も標高1100〜1200mまで登らないと雪が無いとのこと。この記録から数日経過しており、その間はずっと気温が高かったので雪解けが進んだだろう。上記の3山周回が最終目標だが、藪が酷くて途中で断念する可能性もあり、まずは最も雪解けが早いであろう最も南にある芦倉山だけは登ることに決めて、往路はまず芦倉山へ登ることにした。その後、丸山まで足を延ばすかどうかは現地の残雪状況を見て判断しよう。

・周回するなら駐車箇所は2つの林道の起点である上在所集落だが、芦倉山だけの可能性を考えるとできるだけ保川沿いの林道を奥まで入るのが得策。結局は適度な駐車余地があった林道の途中まで入ることとなった。この林道は朝日添川を渡る橋まで除雪されており、芦倉山だけをターゲットにするならここまで車で入るのが普通だろう。

・天気予報では雲が多めながら晴れの予報。ただし高気圧の中心が日本の東海上に通過して南寄りの湿った風が入っているので強風が予想された。これも先に芦倉山に登ることにした要因の一つで、これだと芦倉山〜丸山は追い風となり体感的に寒さもマシに感じるだろう。

・冬装備であるが、先週の森石山と同様にワカン、10本爪アイゼン、軽ピッケルとした。足元は前回同様に登山靴。これはワカンと長靴の相性が不明だからだ。長靴ではどうも脱げやすそうな気がする。気温は高いだろと防寒装備は少し削った。冬場なら使い捨てカイロを手袋に忍ばせるのだが、もう不要だろう。

・周囲が明るくなってから出発。残念ながら曇りで青空が見えないが、予報では北陸に近いこのエリアでは雨が降ることはなさそうだ。舗装された林道を歩いて朝日添川の橋を渡った所に車が1台駐車していた。そしてその先にも1台。これは釣り人のものであった。その先の植林帯で林道上に雪が現れてマイカーはそこまでだった。そして雪の上には新しい足跡が2人分あり、おそらく橋に駐車した車の主だろう。この林道を進んでいるということは私と同じく芦倉山だろうか。

・林道は半部以上が雪に覆われているが、今の時間帯では雪は僅かしか沈まない。先行者の足跡は足首程度まで沈んでいるが、体重が重いか荷物が多いのだろうか。結果的にこの足跡の主とは丸山まで同一ルートだった。

・牧川出合近くで保川を渡り、さらに進んで林道が二分する箇所で斜面に取り付くことにした。素直に林道を歩いたら遠回りになってしまうが、このまま尾根を直登すれば上部の林道に出ることができる。僅かに残った雪を伝っていくと先人の足跡が登場。同じことを考えている。上部の林道に出ると明らかに廃林道化して道の上に灌木が生えていた。

・ここで足跡は残雪のある廃林道を上がっているが、地形図を見るとこの廃林道も遠回りしてまたこの尾根の上部に戻ってくるので、ここも林道を離れて尾根を登ることにした。最初のカーブの林道脇にはピンクリボンが下がっていてここから尾根に取り付く。目印があるくらいなので残雪期のルートらしいが踏跡は皆無で、植林の中なのに根曲り竹が既に出現。ただしまだ高密度ではないので軽く分けながら登って行く。藪の中にはピンクリボンが頻繁に登場するが、尾根が明瞭なので目印が無くても迷わない。下りはどうか分らないが。

・地形図通りに標高1030mで再び廃林道に飛び出すと雪の上には先人の足跡。ここは山側の斜面は法面で登るのが面倒なので少しの間だけ廃林道を進み、次のカーブの先のピンクリボンで再び藪の斜面に取り付く。先人の足跡はここでも雪の残った廃林道を進んでいた。

・杉の植林が続くが根曲り竹の藪は徐々に濃くなっていく。目印は相変わらず結構な頻度で登場。手の届く高さに付けられているので、雪が消えた時期か雪があっても数10cm程度の時に付けたものだろう。目印は気にせず藪が薄いところを選んで進んでいく。残念ながらまだほとんど残雪は無い。

・標高約1140mで傾斜が緩んで植林からブナの自然林に切り替わった地点でやっと待望の残雪がまとまって登場。先人の真新しい足跡は左手(北側)の雪の上を上がってきていた。廃林道から雪が繋がった場所があるのだろうか? 乾いた石の上の濡れた足跡なら先人との時間差の概略が分るのだが、曇って日差しが無く気温数℃の環境では雪の上の足跡が数分前のものか数時間前か判断できない。でも話し声も姿も見えないので30分以上のビハインドはあるだろう。もっとも、追いつこうとは思わないが。

・残雪は尾根直上ではなく稜線の南や北側に残っていることもあり、残雪を求めて微妙にルートを振りながら緩やかに上がって行く。この標高で急に雪が出てきたのはおそらく傾斜が緩んだからで、標高??m程度で再び傾斜がきつくなった場所に雪があるだろうか。周囲の斜面を見ても雪があるのは僅かな範囲だけだ。

・標高1280m付近で先人の足跡がスキー跡に変わった。どうもスキーを担いでいるようだ。しかしまだ周囲の雪は少なく雪が切れた場所もあり、すぐにツボ足に戻っていた。

・標高1320m付近の傾斜が急になる場所は予想通り雪が少なく地面が見えている場所が半分程度あり、かろうじて雪が繋がった状態だった。このまま気温が高く推移すると、あと1週間するとこれらの雪の大半が消えてしまいそう。先人は雪のつながりがいい右手を大きく迂回するルートをとっていたが、こちらは尾根をほぼ直登。雪は少ないが全く繋がっていないわけでないので最短距離で登って行く。雪が消えた地面には根曲り竹が顔を出しているが、杉植林帯の無雪地帯よりは藪が薄いように見えた。ブナの自然林の方が藪が薄いのだろうか?

・標高1410m付近で先人の足跡が合流。尾根の傾斜が緩むと雪は主に北斜面側に残っていて、南側は傾斜がきつく雪が完全に落ちている箇所も多い。さらに高度を上げて再び傾斜が急になってくると尾根直上も根曲り竹の藪が出てしまい、北斜面をトラバース気味に上がって行く。それなりの傾斜で落ちたら止まるかなぁと思える状態だが、先人のステップを利用できるので比較的安心して登ることができた。

・残雪の北斜面の傾斜がさらに増したところで滑落のリスクを嫌って先人の足跡と別れて右手の雪が落ちた藪尾根直上へ復帰することに。できるだけ雪を利用してから藪へ入ったが、思ったよりも藪は濃くはなく無雪期でもイケそうな植生だった。これは傾斜がきついからであろう。これまでの経験上、傾斜が緩やかな場所の方が藪が深いことが多い。

・再び傾斜が緩むと残雪が復活。これ以降は芦倉山山頂まで雪が続いて藪から解放されたが、大半の区間では尾根南側の雪は落ちてしまっていた。

・標高1600m付近を越えるとガスの中に突入し視界が無くなる。風は思ったよりも弱いがガスは困るなぁ。雪の白さとガスの白が合わさって、全面が雪に覆われた状態では前方の地形がほとんど判別できない。今回は方位磁石で頻繁に進路を確認しないとすぐに尾根を外しそうだ。天気予報では晴れのはずだったのだが残念。

・芦倉山山頂が近付くと尾根が広がり立木も僅かに。先人の足跡はスキーに変わっていた。ここまで藪の中や急斜面でスキーを担ぐのは大変だっただろう。しかももし同じルートを下るとしたら帰りにスキーが使えるのは僅かな場所だけだろう。それともどこかの谷を下るのだろうか。

・芦倉山はのっぺりした平坦な地形であり、ガスの中ではどこが山頂なのか全く判別できなかった。立木がないので山頂標識も無し。山頂から少し北側に低い木があったので風除けに利用して休憩。先行のスキーヤーの姿は無く、ガスの中でスキー跡がどこに続いているのか見えないが、帰りは尾根ではなく谷筋を下るのだろうと予想。南風だが気温は約+2℃で日差しが無いので寒かった。

・休憩中に思案。この天候ではルート判断が難しいのでここで打ち切って下山するか、それともこのまま丸山に向かうか。ガスで丸山への稜線の残雪状況が全く見えないが、芦倉山と丸山とを結ぶ稜線はこれまでより緩やかで傾斜が緩いので残雪は多いはずと判断。まだ時間に余裕はあるし体力的にも問題ないので丸山を目指すことに決定。

・休憩を終えて方位磁石で北を確認して出発。その方向にはスキー跡が続いていた。視界が無いのでできるだけ尾根直上を歩きたいのだが、すぐに尾根上の雪が東へ数m落ちて雪壁を形成するようになり、西側斜面しか雪が使えないのでそちらを下ることに。スキー跡も同様。しかしこのままでは尾根を外れてしまうのでどこかで復帰しなければならない。しかししばらくはズリ落ちた東側の雪との落差は数mもあり下ることができないのでそのまま北へ下り、クレバスが消えて雪が繋がった斜面で主稜線に復帰した。

・この後はしばし安定した稜線歩きだが、ガスで相変わらず五里霧中。スキー跡は相変わらず主稜線上を北上しているが、まさか私と同じく丸山を目指しているのだろうか? スキーヤーの行き先が不明なのでスキー跡を盲目的に信用することはせず、自分の判断で先へと進んで行くが結果的にはスキー跡を追いかけることになった。

・なだらかな稜線が続くのでここでワカン装着。これまで足首程度まで潜ったがさすがにワカンではほとんど潜らなくなった。

・1669m峰への登りは尾根上の雪が大きく崩れて広範囲に藪が出ており、スキー跡に従って雪が繋がった東斜面をトラバースすることに。それなりに傾斜がきつくワカンは邪魔なのでさっき付けたばかりなのに外してアイゼンと交換。背中の軽ピッケルを出してトラバース。こんな時はスキーの方が楽だろうなぁ。小尾根を越える場所で雪が割れて先に進めないので尾根上へ。ここは雪がズタズタになりながらも上へはどうにか登れる状況だったが、さすがにスキーでは無理でここでツボ足の足跡に変わって上を目指していた。雪が繋がった場所があり1669m峰まで登り返すことなく再びトラバースして尾根へ復帰した。

・この先の1680m峰でルートをミスってしまった。主稜線はここから北西に尾根が曲がるのだがガスで気付かずに直進してしまったのだ。ついでに現在位置の把握もイマイチであり、精密な読図ができていなかった。ここはまっすぐ、つまり北東方向にも顕著な尾根が続いているので間違いに気付きにくい。ガスが無く視界があれば尾根の続き方が見えるので間違うことは無いだろうが・・・。スキーヤーも同じ間違いをしていて枝尾根にスキー跡があった。ただしそれまで2人分のスキー跡が途中から3本に増えて不思議に思ったのだった。後から推測したことだが、増えた1本はルートミスに気付いて戻った時に付けたもので、もう 1人はおそらく往路のスキー跡に乗って戻ったのだろう。

・スキー跡が消えてからも私はミスに気付かずに緩やかな尾根を下って行ったが、途中で方位を確認したら北東方向で、標高も1600mを割ることが無いはずなのに高度計は標高1580mを指していて明らかにおかしい。ここで地形図を良く見ると1680m峰から北東へ延びる枝尾根に入ったことを確信、スキーヤーもルートミスしていたことが分かったのだった。

・1680m峰てっぺんまで登り返すのはもったいないので、トラバースしたスキー跡に従ってピークを巻いて主稜線へ復帰。相変わらずガスの中で先の様子は全く見えない。スキーヤーは1610m鞍部で初河谷へと下ると予想したが、鞍部を越えて登りに変わってもスキー跡が続いていて、丸山まで登っているのは確実だ。

・鞍部から登り返して標高1730m付近で傾斜がきつくなると、尾根上に根曲り竹の藪が出ていたのでスキー跡に従って左の急雪面をトラバース気味に登って行く。相変わらず先の様子はガスで全く見えないが、丸山山頂は間もなくのはずだ。

・急雪面を登り切って傾斜が緩むと尾根に乗り、最後に小規模な雪庇を乗り越えて合流する尾根に乗る。傾斜が緩むと同時に尾根幅も広がって山頂っぽくなるが、いかんせんガスで何も見えないのでどこが最高点なのかさっぱりわからない。一番高そうな場所は立木のない雪原で標識等は皆無。帰りは初河山へ繋がる南西尾根を下る予定だが、その尾根の姿は全く見えなかった。スキー跡は丸山を越えてさらに北へと延びていて、少なくとも銚子ヶ峰くらいまでは足を延ばすようだ。スキーだから帰りは歩くより早いと思うが、もし日帰りなら相当の健脚と言えるだろう。

・山頂付近は風除け皆無なので山頂南西側を少し下ったシラビソの木の陰で風を避けて休憩。その北側のダケカンバの幹に木の板らしき物体が見えたので行ってみると、文字が完全に消えた大きな山頂標識だった。板の色合いは風景に溶け込んで、ガスの中では発見するのが難しい。

・さて、ここからが最難関。下りは1659m峰、初河山、1148m標高点を経由して初河谷右岸が林道と交差するポイントに下るルート。主尾根の地形が不明瞭で多数の尾根分岐がある複雑な地形で、登りならいいが下りではあまり使いたくないルートだ。特に初河山を越えてからが勝負となろう。

・ガスで視界が無い中を登山道が無い尾根を長距離下るのは久しぶりだ。視界は数10mなので先は全く見えず、出だしから慎重に方位磁石で南を定めて往路の自分の足跡を下り、南西方面へ緩やかに下る広い尾根入口を発見してまず一安心。往路ではこの尾根にできた雪庇を乗り越えたのであった。

・しばらくは太く広い明瞭な尾根を下るが、標高1700m肩で西へ進路変更が必要。直進すると1700m肩の先で尾根は消えてしまう。丸山山頂で高度計を校正するのを忘れてしまい、芦倉山で校正したままの数値なので誤差が大きそうだ。まあ、高度に関してはGPSがあるので大丈夫だろう。後で分かりやすい地形で校正しておこう。尾根上には微かに古い足跡の形跡と思われる雪の変色があるが、非常に微妙で追跡し続けるのはほとんど不可能だ。もっとも最初から読図するつもりであり、他人の足跡が無くても自分の判断で下るのであった。

・地形図通り1700m肩手前で西へと平坦地が広がり、微かな足跡もそちらへ向かっているように見えたので目的の尾根入口と思われたが、ガスで先が見えないので念のために1700m肩から先は急傾斜の尾根に変わっていることを確認してから方位磁石で西を確認して尾根に突入。ここは藪が出ているが僅かな区間だけで、これまで尾根の南側にあった残雪が北側に移ったのでそちらを下る。地形図では尾根上はガレていることになっているが、実際には藪が蔓延った普通の尾根が続いていた。もしガレがあれば藪が開けた広い雪面が現れるはずだが、尾根上にそのような場所は無かった。

・尾根直上の藪が薄くなった箇所で南側を見ると再び残雪が復活していたのでそちらへ。尾根南側は雪庇状で平坦で歩きやすいが、北側は斜面そのままで歩きにくいのであった。1659m峰を越えて標高1580m付近までは尾根南側の雪が使えた。

・しばらくは迷いやすい地形は無く素直に尾根を下って行けばいい。1610m鞍部で1659m峰へ登り返すがまだガスの中。ある程度高度が下がればガスの層を抜けるはずだが、今のところその気配はなく、どうも往路より雲の底面の高さが下がってきているようだ。明日は雨の予報なので仕方ないか。

・1659m峰てっぺんもガスの中で全く視界が無く、尾根の方向を磁石で確認して下る。まだこの標高では残雪が多くほぼ尾根上を歩けるのはありがたい。残雪を求めて尾根を外して下ると枝尾根分岐に気付かずにルートをミスる確率が上がってしまうので、できるだけ尾根上を歩くのが望ましい。

・標高1580m付近で尾根南側雪が落ちて先に進めないので、尾根上の僅かな藪を抜けて尾根北側直下の残雪地帯へ移動。しばらく北側を歩いて尾根直上の藪が薄くなった箇所で尾根南を覗くと雪が復活していたのでそちらへ。尾根南の残雪は雪庇の溶け残りであり雪面が平坦で歩きやすい。

・1500m鞍部から初河山への登り返しも残雪が多く藪は皆無。尾根が広がり地形が不明瞭だが登りなら問題なし。ここでは古い足跡が比較的明瞭に残っていた。

・広い尾根を登りきると左から明瞭な尾根に合流。この尾根はこれまでと違って尾根南側は崖のように垂直に雪が落ちて藪が出ていた。意外にも植生は利根水源山脈の上越国境のように背の低い笹と矮小な灌木で、この状態なら無雪期でも歩けそうな気配。ただし広範囲にこの植生が広がっているのかは不明。雪の崖の高さは3mくらいありそうで、意外と雪の量が多い。

・登り切った緩やかなピークが初河山山頂。ここもガスで何も見えない。芦倉山と丸山は山頂一帯に木はほとんど生えていなかったが、初河山は南は雪壁で切れ落ちて立木は無いが北側は背の高い立木が並んでいて、その一本にピンクリボンがぶら下がっていた。この尾根に入ってこれまで目印は一切見かけなかったがここにだけはあった。でも山頂標識らしき物体は見当たらなかった。

・山頂西側は藪が出ていたのでちょっとだけ北側を迂回してから尾根南側に残る雪庇残骸の棚状の雪の上を下っていく。1587.6m三角点がある付近は南側の雪が落ちて尾根上は藪が出ていたので北斜面をトラバース。尾根上に雪が無かったのでここが三角点だと分かっていれば藪を分けて三角点を探したのだが残念。

・標高1500m付近からはこれまでの明瞭な尾根が消えて傾斜も急になり読図が一気に難しくなる。傾斜がきつい場所では尾根直上は雪が無く根曲り竹の藪が出てしまっている区間がほとんどで、残雪のある北側斜面や谷筋を下ることが多くなる。しかし目的の尾根より北側に分岐する枝尾根沿いに下ってしまうミスをしても気付かないリスクが高いので、頻繁に方位磁石で進行方向を確認し、南西に下っているかチェックする必要がある。案の定、標高1450m付近では藪が薄いところから尾根に乗っても方位磁石が示すのは西で、正しい尾根はさらに南にあるので藪が出た尾根を越えて次の尾根へ乗り換えた。しかしその尾根も藪が出てしまっているので尾根北側の斜面や谷筋を下り、標高1350m付近で再び藪尾根に戻って方位チェックするが西向きでありNG。さらに南にトラバースして雪が残る谷筋を下って標高1300m付近でトラバースして藪尾根に戻り方位チェックすると南向きでやっと正しい尾根に乗ったことを知る。久しぶりに尾根東側直下に雪庇残骸の残雪が続いて安心して下れる。雪庇は小さな枝尾根には存在しないことが多く、主尾根のいい目印である(100%そうとは言えないが)。

・この付近まで下るとガスの層を抜け出して樹林が薄い場所では先の様子が見えるようになるが、視力が低下した右目の影響で両目で見た時の視力も低下し、遠い尾根の先の様子が良く見えないことに気付いた。これはなかなか不便で尾根の繋がり方が分からないのはルートファインディングで大いに困る。もう少し度が強い眼鏡に作り替える必要がありそうだ。

・標高1250m付近で尾根が2分し右側(南西)の尾根に入らなければならないが、出だしは藪と樹林が深くて尾根の入口が分からなかった。ここで方針転換して995m峰のある一本北側の尾根に乗り換えることにした。少し距離が延びるが尾根末端で石徹白川沿いの林道に出る地点はほとんど変わらないので損失が少なく、すぐ近くにある標高1210mの平坦区間が見えていて読図しやすいメリットがある。

・斜面方向に斜めに寝た根曲り竹藪を掻き分けてトラバースして右手の明瞭な尾根に乗り換え完了。尾根上は雪は無いが思ったよりも藪が薄く歩きやすい。1210m峰と思われる平坦な尾根では南側に残雪が登場しそちらを歩く。この頃から杉の植林帯が登場するので、素直に尾根を下らなくても林道に出るルートを見出せそうだが、安全第一で尾根コースで行くことにした。標高1070m付近では咲き始めたイワウチワの群落があった。

・明瞭な尾根を南西に下って行き、標高1000m付近で995m峰につながる主尾根を離れて南へ下る尾根に入る計画だ。この方が登り返しが無いし林道を歩く距離が短縮できるためである。ところが標高1000m付近は南西方向に尾根が続いておらず急な下りになっていることが分かった。どこかでルートミスしたようだが、おそらく正しい尾根は南にあると予想して雪が僅かに残る程度で半分以上が藪の植林帯を左へトラバースして明瞭な尾根に乗り一安心。

・地形図通り標高1000mで尾根分岐が登場。主尾根に乗っていると思っているので南の枝尾根を下ることにした。この分岐点には赤い絶縁テープの目印あり。取り付けた人が左右どちらの尾根から登ってきたのか不明だが、左(南)の尾根の途中でさらにこの目印を見かけたので、こちらの尾根から登ってきたことが分かった。ただし目印はその2個しか気付かなかった。ここまで下るとほとんど雪は無いが、往路の芦倉山への尾根よりは藪は薄いように感じた。この枝尾根はずっと植林帯が続いていた。

・最後は不明瞭になった尾根から適当に植林斜面を下って林道へ降り立つ。ここは石徹白川沿いの林道のはずで上流は右方向、下山する方向の下流は左のはずが、水の流れが逆方向ではないか! どうも予定と違うルートを下ってしまったようだ。でも石徹白川より東側のどこかのはずで、このまま林道を下流方向に下れば石徹白川沿いの林道に出るはずだ。林道は雪に覆われていたが途中から足跡が降って湧いたように登場。しかし丸山から初河山経由のここまでの尾根上には足跡はなく、この足跡はどこに行ったのだろうか?

・少し下ると「初河山遊歩道」の看板が登場。まさか初河山に登山道がある? しかしその先にあった「八反滝遊歩道」の案内図で八反滝への遊歩道だと判明。同時に今いるのは初河谷沿いの林道だと分かった。予定よりずいぶん南に下ったようだ。帰宅後にGPSの軌跡を確認すると、くしくも標高1000mの尾根分岐までは当初計画の尾根を下っていたことが判明。995m峰のある尾根に乗っていなかったのだ。標高1210m平坦区間は地形図を良く見ると当初計画の尾根にもあり、尾根の向きもどちらも南西で判別が難しいことが分かった。やはり今回の尾根は下りで使うにはルートファインディングの難易度が高過ぎで、一般的には登りで使うべきルートだった。

・「八反滝遊歩道」の案内図で真新しい足跡多数の林道に合流。これが石徹白川沿いの林道に違いない。これだけ足跡があるということは銚子ヶ峰方面へ向かった人や、逆にそちらから下ってきた登山者が多いことを意味する。もしかしたら白山まで?

・残雪の林道歩きはこれまでの下りと比較すれば重力の助けが無いので藪が無くても疲れる。このままずっと雪の上を歩くのかと思ったら意外と雪解けが進んでいて、林道起点までの約7〜8割くらいが舗装道路を歩くことができて助かった。舗装道路は雪さえなければとても歩きやすく体力の消耗は少ない。

・途中でスキーと大ザックを置いて休憩中の2人の若者に遭遇。もしかしたら今日ずっと後追いしていた先行の2人組かと思ったら、別山谷で釣りをしながら登ってここまで縦走してきたとのこと。ご苦労様。その直後にスキーを背負った男性とスキー無の男性の2人組が林道を下ってきた。何とも妙な組み合わせだが、どちらも雪山慣れした雰囲気。この時期だとそんな人しかこんなところには来ないだろう。

・休憩に入った2人組を追い越して林道を下る。残雪状況によっては林道は危険地帯に変わるのだが、雪解けが進んでヤバい箇所は皆無だった。時々出てくる残雪もトレースがあるのでラッセルなしで楽だった。林道は起点近くにも雪が残っていて、起点に車止めがあるがそれが無くてもまだ車は進入できない状態だった。

・林道起点の橋付近には野伏ヶ岳への登山者のものと思われる車が何台もあった。橋の東側の集落近くの舗装された駐車場は満車に近い状態。この時期の野伏ヶ岳は人気があるようだ。岐阜100名山か何かになっているのだろう。

・私の駐車箇所は林道を上がった地点にあるのでさらに歩きが必要。丸山まで周回できると分かっていれば舗装された駐車場にでも置いたのだが。でも今回の駐車余地は他に人は皆無なので人目を気にせず着替えることができた。


まとめ

 予想以上に雪解けは進んでいたものの、何だかんだで丸山まで周回できてしまった。雪が消えた区間の藪の程度は先週の森石山よりはマシであるが、残雪で藪を回避する意味ではもう賞味期限は過ぎているように感じた。稜線には雪があってもそこまでのアプローチで雪が無い区間が長すぎる。このエリアの例年の残雪量は知らないが、今年は雪解けは早い方だろうか。過去の経験ではこの時期ではまだワカンやスノーシューの出番が多いのだが、今年は3月中旬以降は雪が締まってツボ足でも大きな支障がないくらいだったので、やはり雪解けは例年より早いのだろう。しかし、この分では標高が高いところ以外は大型連休までに雪が無くなってしまいそう。私が未踏で大型連休に残雪の恩恵が受けられるのは、関東甲信越、東海北陸では白山周辺くらいだろうか。新潟の川内山塊には未踏で登りたい山香多数あるが、来週辺りでも標高が低い尾根はもう藪が出ているかなぁ。

 

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